音楽劇「生きるということ〜The Meaning of Life〜」
おかげさまで千秋楽を迎えることができました。
2023年。
出演中の「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」中に
「荒野に希望の灯をともす」という映画の情報が、偶然SNSの広告に流れて来ました。
アフガニスタンに用水路を作られた中村哲医師のお話はなんとなく記憶にある程度でした。
しかし、2019年12月の訃報を聞いたとき、胸がざわついたことを思い出しました。
僕はこの映画を見なければならない・・という直感から、中野にあるポレポレという映画館に向かいました。
鑑賞中、様々な感情が渦巻きました。
自然の厳しさ、命の尊さ、他者を想う心・・・
今、僕が表現したい、世界に向かって訴えかけたいメッセージが、この映画には詰まっていました。
そして「生きるということ」劇中の台詞にもありますが、国会中継のシーンを見た瞬間、記憶が一気に蘇ったんです。
「僕は高校三年生の時に、この国会中継をテレビで見ていたんです」
映画を見た後、居ても立ってもいられずにパソコンに向かい、どうすれば中村哲医師の描いた平和への想いを脚本にできるか。そこから執筆が始まりました。
千秋楽のアフタートークでもお話しさせていただいたのですが、
当初は僕が中村哲医師を演じる・・と思い浮かんだのですが、
本当に一瞬で『上野哲也』さんがいるじゃないか!と書き換えられました。
「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」での上野哲也さんのロートレックは、
役を深掘り、さらに深掘り、まだ納得がいかず深掘り、何かヒントはないかと
上演中もアンテナを張り続けながら深掘り・・という役作りでした。
そんなロートレックと共に最高の演劇を作ろうとするサンティアゴ役で共演させていただいていたのも、
この作品を作る原動力になっていた気がします。
丁寧に役作りをされる上野哲也さんだからこそ、
中村哲医師を深く掘り下げて、
そこに中村哲医師が立っているだけという演技をお任せできるのではないか…。
そんな想いを抱き、
「『荒野に希望の灯をともす』という映画があるんですが、観てください!」
と突然連絡し、
「お茶しましょう!」
と喫茶店に誘い出し、
「演じてください!」
とオファーしました。笑
↓その時のお茶の後に撮った写真
案の定、上演の一年半前に早々に上がった脚本を読み込み、深掘りし、
唯一無二の中村哲医師を演じてくださった上野哲也さん。
本当にありがとうございました。
その後、作曲の長濱司さんと台本を共有し、まずはメインテーマでもある
『生きるということ』という曲を作り、2024年の「ワタシノコト」スピンオフライブで初披露。
その後も順調に劇中曲が出来上がり、稽古が始まる前には僕の中ではかなりの完成度で
脚本と音楽が絡み合っている状態でした。
これは長濱君の台本を読み解く力がすごいということを、歌日記読者の方に声を大にしてお伝えしたいです。
アフガンの人々の空気、大旱魃、中村哲医師の力強い言葉、喫茶店などなど、
全てが送って来てくれた瞬間にフィットしてました。これしかない!と言った感じに。
そして今回とても楽しかったのが、本公演前に音源制作が出来たこと。
まずは開場前のBGMとしてM1を
劇中のシーンのオムニバスとしてM2『カカ・ムラド』(現地で中村のおじさんという意味)
中村哲医師へのレクイエムとしてM3『一隅を照らしたあなた』
そして表題曲のM4『生きるということ』。
長濱君をはじめ、信頼のおける音楽チーム。
ギターの成尾憲治さん、ヴァイオリン&ベースの西原史織さんと共に作ったオリジナルアルバム。
そこに上野哲也さんのハーモニーも加わり、最高のCDが出来上がりました。
長濱君、ありがとう。
それから、『踊り』というセクションで二人芝居を支えてほしいと
樋口祥久さん、米島史子さんに依頼しまました。
相当、悩ませたと思います。
ただ、樋口君の何も言わずともそこで立っているだけで伝えることのできる身体表現は
アフガンの人々や自然にも慣れれば、喫茶店の店員にもなれると確信はしていました。
今回は共同振り付けとして参加してくれた米島さんの俯瞰した作品の捉え方がとても頼もしく、
樋口君の支えにもなってくれていました。この二人にお願いして、本当に良かった。
いつか、米島さんも入った4人出演バージョンをやるのが夢です。
(後編に続く)・・・
4人出演バージョン、今から楽しみです!感動いただきました、中村哲先生からの思いを天から受け取った、選ばれし人中井さん。尊い時間でした。素敵なお仲間が大集合でした。再演観なきゃ!!生きます🙏