中井智彦

New Album
「I Live Musical!」
~アイ・ライブ・ミュージカル~
2020.06.03 (WED) Release

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音楽配信 /ストリーミング

 

中井智彦の持つ圧倒的な表現力と魅惑のバリトンボイスでこれまでに出演した作品や、思い入れ深い作品の名曲を詰め込んだ
珠玉のミュージカル・アルバム!!

ミュージカルファンのみならず多くの皆さまにぜひお聴き頂きたい一枚です。

 


5月4日(月祝)に開催を予定していた 中井智彦コンサート「I Live Musical ! 5」公演延期につき、
ニューアルバム「I Live Musical !」購入者かつファンクラブ会員を対象としたネットサイン会の開催が決定しました!
サイン会受付/CD購入締切:4月27(月)23:59

受付期間中のファンクラブ入会でも参加可能!
詳細はこちら
※ネットサイン会は終了しました

収録曲

    • 01:シング・シング・シング 『スウィング!』

      作詞:Louis Prima/作曲:Louis Prima
      訳詞:三田 恭次/編曲:山本 真央樹
    • 02:時が来た 『ジキルとハイド』
      作詞:Leslie Bricusse/作曲:Frank Wildhorn
      訳詞:高平哲郎/編曲:長濱 司
    • 03:ミュージック・オブ・ザ・ナイト 『オペラ座の怪人』
      作詞:Charles Hart/Richard Stilgoe/作曲:Andrew Lloyd Webber
      訳詞:浅利 慶太/編曲:長濱 司
    • 04:星よ 『レ・ミゼラブル』
      作詞:Herbert Kretzmer/Alain Albert Boublil/作曲:Claude Michel Schonberg
      訳詞:岩谷 時子/編曲:山本 真央樹
    • 05:エーデルワイス 『サウンド・オブ・ミュージック』
      作詞:Oscar Hammerstein II/作曲:Richard Rodgers
      訳詞:吉田 考古麿/編曲:長濱 司
    • 06:愛せぬならば 『美女と野獣』
      作詞:Tim Rice/作曲:Alan Menken
      訳詞:浅利 慶太/編曲:長濱 司
    • 07:Your Song 『Moulin Rouge!』
      作詞:Bernie Taupin/作曲:Elton John
      編曲:山本 真央樹
    • 08:Anthem 『CHESS』
      作詞/作曲:Göran Bror Benny Andersson/Tim Rice/Björn Kristian Ulvaeus
      編曲:長濱 司
    • 09:虹の彼方に 『オズの魔法使い』
      作詞: E. Y. Harburg/作曲: Harold Arlen
      訳詞:山梨 竜一郎/編曲:長濱 司
    • 10:見果てぬ夢 『ラ・マンチャの男』
      作曲:Mitch Leigh/訳詞:福井 峻
      編曲:山本 真央樹

全曲ダイジェスト

アルバム解説

藝大で声楽を学んだミュージカル俳優がミュージカルの名曲をレコーディングする。そこにイメージするのは流麗なオーケストラの伴奏で、ドラマティックに歌い上げる姿ではないだろうか。確かにそういう作品は、多くあるし、私も好きでたくさん聴いてきた。それを否定するつもりは全くないけれど、これまでの作品像を中井智彦の2ndアルバム『I Live Musical!』は、いい意味で裏切ってくれる。

 

そんな刺激に満ちた作品は、1曲目『シング・シング・シング』のギラギラしたドラムが鳴り響くイントロから期待感を煽る。オリジナルも力強いドラムから始まるけれど、それとは違う、エレキ感と言えばいいのか、そのギラギラに作品に賭ける彼自身の情熱が凝縮されているように思う。

 

プロフィールによれば、小学生の時に映画『サウンド・オブ・ミュージック』に感動し、高校生で初めて観劇したのが『ジキルとハイド』で、大学時代にブロードウェイで観た『オペラ座の怪人』のオーケストラとエレキの調和に鳥肌が立ったとある。この経験に彼のルーツ、もっと言えば、『I Live Musical!』のアイデンティティを見る思いがする。音楽のベースにあるのはロックの挑発なのだ。
出演するJ-WAVEの番組『STAGE PIA WE / LIVE / MUSICAL!』でも子供の頃からピアノを習い、楽譜どおりに弾くことを教えられていた彼が高校生の時に出会ったロックから、自由にコードを弾きまくる歓びという洗礼を受け、エレキギターの音色や心臓の鼓動が高鳴るドラムのリズムに心奪われたと語っている。
私は、音楽ライターとしてではなく、『STAGE PIA WE / LIVE / MUSICAL!』の構成担当として彼に出会った。なので、インタビューの中で次々に質問を投げかけるのではなく、番組内でのトークやゲストとの会話のなかで、中井智彦というアーティストを知る機会を持ってきた。番組でも「いい声ですね」と反響のあるバリトン・ヴォイスは、天からの贈り物だけれど、より魅惑的にしているのは真摯に音楽に向き合う姿勢、温和な人柄だと思う。

 

さて、アルバムを手にしてあらためて思うのは、選曲に彼自身が投影されていることだ。収録曲は10曲。おそらく絞りに絞り込んだラインナップで、ここに辿り着くまでに苦渋の選択を何度も迫られたことだろうと想像できる。ミュージカルは、名曲の宝庫だ。アルバムであれば、ミュージカルの舞台ではあり得ない、女性のレパートリーを歌うことも可能だ。そういうなかで彼は、大袈裟に言えば、彼の人生をミュージカルへと導いた3作品『サウンド・オブ・ミュージック』、『ジキルとハイド』、『オペラ座の怪人』からの楽曲をはじめ、出演してきた作品『レ・ミゼラブル』、『美女と野獣』、『CHESS』などから劇中歌を選んでいる。

 

そして、それらの曲を一音ごとに生命を注ぎ込むように丁寧に歌の物語を紡ぎ、時には歌の主人公の感情を爆発させながら歌う。しかもその熱唱がとてもナチュラル。ドラマを意図的に作り上げている感じが全くない。番組でもよく口にしている「歌の物語に寄り添いながら」という言葉を、こういうことかと納得する。個人的には慈しみに満ちた『時が来た』に何度聴いても心揺さぶられる。

 

アルバムを聴くなかで違和感はないけれど、普遍的な名曲に大胆なロック、楽曲によってはジャズのアレンジを施すことは、冒険だったのではないか。そのチャレンジを支えたのが2人の若きアレンジャーだ。ひとりは、フュージョン・バンドDEZOLIVEのリーダーでドラマーの山本真央樹、もうひとりは、いつもライヴでピアノの伴奏を務めている長濱司。彼のピアノの伴奏で歌う『虹の彼方に』は、お互いの息遣いを感じながら、ライヴ方式で一緒にレコーディングしたという。

 

アルバムは、『ラ・マンチャの男』からの『見果てぬ夢』で幕を閉じる。彼がこのミュージカルに出演したことはないのに、なぜ大切なメッセージとなるべく最後の曲に選んだのか。おそらく歌詞にある純粋で、愚直なまでの一途な思い、まっすぐな生き方に自分の追い求める夢を重ね合わせているからではないだろうか。

 

新作『I Live Musical!』は、中井智彦のロマンに満ちた冒険に胸が高鳴るアルバムである。

 

音楽ライター・服部のり子

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