【歌日記】僕とエルヴィスと美女と野獣と中原中也

/ BLOG

僕が初めてエルヴィス・プレスリーを知ったのは、中学校の頃によくみていた歌番組、
「THE夜もヒッパレ」に出演していた尾崎紀世彦さん。
歌に魅了されたのがきっかけでした。

どんな曲も尾崎さんらしく、言葉に魂を込めて歌うその姿勢に感動し、尾崎さんの虜に。
そして尾崎さんを調べていくと、エルヴィスが歌っている曲をたくさんカバーしているんです。
尾崎さんが影響を受ける程の歌手、一体何者なのだろう……。

そんな興味から図書館でCDを聴く。
「See See Rider」「Burning Love」から溢れ出るビート、
「Can’t Help Falling in Love」の包み込むような愛の歌声、
「If I Can Dream」の祈りのような強い意志。

ブラックミュージックという言葉すら知らない、なんとなく音楽が好き、という中井少年は、
音楽の中に生きるアーティスト・エルヴィスの存在に
とてつもなく大きな影響を与えられました。

そして彼の生きた時代のアメリカを知ります。
人種隔離的な差別の中で、エルヴィスが黒人女性をバックコーラスにしてテレビで歌う。
カリスマ性というものを使い、エンタメの力で愛するものへの想いを伝える、誰になんと言われようと。
そんな彼の生き様を撮ったドキュメンタリー映像に辿り着き、さらにエルヴィスという人物に惹かれていきました。

その後、僕は歌手になる夢を胸にバンドを組み、声を壊し、声の研究をしたくて東京藝術大学の声楽科に入学。
オペラ、歌曲などの研究をしつつ、ミュージカルに出会い、
いてもたってもいられず、ブロードウェイへ観劇!


そして、「美女と野獣」と出逢います。
作品の中で描かれる「ガストン」は、
ウインクをすれば女の子が色気に卒倒し、
そのカリスマ性から、彼の言うことはみんな何でも信じてしまう、という人物。
まさにエルヴィスがモチーフで作られたキャラクターでした。
そしてガストンはベルを奪うために、野獣は悪魔だと触れ回り、集団心理を使い野獣を殺そうとします。
私利私欲のために使われるカリスマ性の恐怖を表した脚本です。

日本に帰ってきて、ガストンとエルヴィスの話を友達にすると、
「ガストンみたいな人なんでしょ?エルヴィスって」
と言われ、頭が真っ白になりました。

エルヴィスを知る前提がないと、ガストン=エルヴィスになってしまうんです。
特に日本では。
その友達には全力で説明しましたが、そう思ってしまう人はたくさんいるんだろうな……
と悶々と過ごしてました。

のちに「美女と野獣」で野獣を演じ、ミュージカルに没頭している時でも、
僕はエルヴィスの歌をずっと聴いていました。

唯一無二の歌声、パッション、言葉から浮き上がってくる愛、
自分は、そんな歌が歌えているのだろうか……。
と自問自答をしながら、劇団の図書室にこもっていた毎日。
そこで出会ったのが、「中原中也全集」でした。



詩人・中原中也は、僕に自分の言葉で歌う事の大切さを教えてくれました。
「人には自恃があればよい!その余はすべてなるままだ・・」(「盲目の秋」より)
「芸術を衰退させるのは固定観念である」(「芸術論覚え書」より)



中也の言葉が胸に刺さり、
エルヴィスの歌が頭を回り、
僕は劇団を退団し、自分の言葉を探し、
自分という存在が叫びたい歌を歌う事を生き甲斐にしています。

そして、今日観た映画「エルヴィス」と出逢いました。
というか、再会した感覚。

エルヴィスがエルヴィスとしてパフォーマンスをする事。
中盤で歌われる「If I Can Dream」では涙が溢れました。
やはり、歌は生き様が浮かび上がります。


少年の頃に聴いたエルヴィスの音源。
僕の心があれだけ揺さぶられたのは、
エルヴィスの生き様と愛が、歌声から浮かび上がってきたからなんだと実感。
歌の中に生きるエルヴィス、僕は彼が大好きだ。今も変わらず。

歌日記でした。


 

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

【中井智彦ライブ情報】

中井智彦 Live Tour 2022 「Singer Song Actor」

名古屋・大阪・東京にて開催決定!!

\現在チケット発売中!/
取扱プレイガイド:チケットぴあ、イープラス、ローソンチケット
https://udo.jp/concert/NakaiTomohikoLivetour2022

ーーーーーー

−歌の中に生きる−
初舞台『レ・ミゼラブル』から今年で15年。
『美女と野獣』のビースト役、『ビリー・エリオット』のトニー役など、数々のミュージカルに出演。
歌物語に実直に向き合う、中井智彦のアニバーサリー・ライブツアー!

バンド:長濱司(PF)/成尾憲治(GT)​/田中啓介(BA)*(東京のみ)/森拓也(DR)*(東京のみ)

<名古屋>
■日時:2022年9月17日(土) 12:30開場 /13:00開演
■会場:LIVE HOUSE CIRCUS NAGOYA 
■チケット:前売り:¥6,000(税込) /当⽇:¥6,550(税込)(全席自由/整理番号付き)*ドリンク代600円(税込)別途

<大阪>
■日時:2022年9月18日(日) 12:30開場 /13:00開演
■会場:Soap opera classics-Umeda- 
■チケット:前売り:¥6,000(税込) /当⽇:¥6,550(税込)(全席自由/整理番号付き)*ドリンク代600円(税込)別途

<東京>
■日時:2022年9月24日(土) 17:00開場 /17:30開演
■会場:TOKYO FMホール
■チケット:前売り:¥6,600(税込) /当⽇:¥7,150(税込) (全席指定)

・公演時間は名古屋・大阪公演は約80分(途中休憩なし)、東京公演は約120分(途中休憩あり)を予定しています。




 

ゲスト

pagetop